明治神宮 結婚式場 明治記念館「金鶏の間」壁面工事

明治記念館(明治神宮の結婚式場)の中でも、由緒正しき部屋である『金鶏の間』の壁面修復工事が2003年秋より1年の歳月をかけ行われました。
その工事記録をご紹介いたします。

 

壁面工事進行

明治記念館(明治神宮の結婚式場)の中でも、特に由緒正しき部屋である『金鶏の間』の壁面工事が本格的に動きだしました。
東京のJR信濃町駅から徒歩4,5分、神宮外苑の緑に囲まれた場所に明治神宮の結婚式場である「明治記念館」はあります。この館の歴史は古く、大宮御所風宮殿造りと呼ばれる本館「憲法記念館」の内装は、シャンデリアや柱や壁紙が歴史の刻まれた雰囲気を感じさせます。中でも『金鶏の間』は、帝国憲法・皇室典範の草案審議の場であり、特に由緒正しき部屋のひとつです。現在では結婚式場として、あるいはラウンジとして多くの方々に利用されています。
その由緒正しき歴史の刻まれた壁紙ですが、そろそろ張替えの時期がきたようです。壁紙は全面手描きの本格的なものですので、時間の経過とともに劣化してきます。こうした日本の伝統的な仕事は、何十年かに一度は修理をすることが必要です。そしてこのように、大切なものを残していくことは、技術を伝えていく上でも、とても大きな価値のあることだと思います。
その仕事をやらせて頂くこととなり、それは職人さんたちにとってもやりがいのある、大きな仕事です。こうした中で先人の技術は受け継がれ、遠い昔の職人たちの仕事がいま同じように蘇っていく姿は、ほんとうに不思議な感動を覚えます。またこのような由緒ある場所に伝統が息づいていくことは、私たちにとってこんなに嬉しいことはありません。文化を継承していくということは、大切なものを大切に思う心と、それを残していくための技術が合わさってなされるものなのだと思います。

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壁面工事 撮影

【現場調査・採寸】

【撮影】(日程2/15,19 22:00~翌8:00)
金鶏と花を、2日間かけての一点づつの撮影。高さのある所も正面から撮る必要があるため、一点一点移動をしながらの撮影でした。 まずは3羽ずつ一組に納め、それから1羽ずつ個別に撮っていきます。絵の下図になるため、色味も念入りにチェックしながら広い壁面を撮り終えました。

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【鳥の子紙製作】
鳥の子紙特漉き2号紙を、5×7尺の特別な寸法で用意する。
(約1515mm×2121mm)

 

壁面工事

壁画制作始動。壁画のはじめは、本金砂子で雲を表現します。作業を進めているのは砂子ふりの職人さん。 砂子とは、簡単に言えば金を細粉したもので、今でも襖絵などに使われる伝統的な技法です。

【壁画制作】(期間 丸5ヶ月 職人8名)

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鳥の子紙に本金の砂子を2色重ね、雲を立体的に表現。
また金泥を表現していきます。

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撮影した写真を実物大に拡大し、金鶏と花をそれぞれトレースしていきます。その一羽一羽はどれも同じ動きをしたものがないので、一点一点丁寧に写しとります。

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線描した後「金鶏の間」に何度も足を運び、色を前の絵と確認しながら、岩絵具で描き上げていきます。 岩絵具とは鉱物を砕いて作られた日本の伝統的な顔料で、粒子の違いや、大きさの不揃い、不純物の混入などが微妙な発色の美しさを生み出しています。 それ自体には接着力がないので、膠(にかわ)を接着剤として使用します。

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【鳥の子紙製作】
鳥の子紙特漉き2号紙を、5×7尺の特別な寸法で用意する。
(約1515mm×2121mm)

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壁面工事 襖製作

古い建造物のため、襖をはめ込む柱の角度などを念入りに調査。 襖絵には修理前、違った模様がはめ込まれていたため、回りの壁画と違和感のないよう注意して、新たに図案を起こしました。

【襖・建付けの調査】

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襖をはめ込むために建付けを調査し、採寸する。

【下張り和紙準備】
手漉きの丈夫な和紙を、使用する大きさ、必要な枚数を用意する。

【襖・下張り】

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和紙の下張りの役割は、上張りを下から保護して表面の質感をふっくらと仕上げることで、そのために和紙がつかわれます。 和紙は丈夫で破れにくく、張り重ねることで強度が一層増していきます。

 

壁面工事 現場作業

2004年8月7日の深夜から、いよいよ現場での作業が開始しました。

【床養生】

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【既存壁画剥がし】

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【下地補修合板張り】

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壁面工事 現場作業その2

実際に壁紙(上張り)を張る前の、下張りの作業が進められていきます。 和紙を「袋張り」と呼ばれる方法で、丈夫にしかもふっくらと張り合わされ、それを重ねることで強度を増していきます。

【下張り】

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【襖・縁取り付け】

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壁面工事 現場作業その3

そして作業は順調に進み、ようやく丸5ヶ月かけて制作された壁紙の作業にかかりました。 修理前と全く同じ図柄ですが、下張りも全部きれいに新調され、壁面全体が見事に蘇りました。

【壁紙上張り】

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【補彩】

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壁面工事 完成

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見事にきれいになった『金鶏の間』の壁面。 ここで紹介できなかった方々も含め、多くの職人さんの技の結集により、短い期間ですばらしい壁面が再現されました。 その仕事風景は、一過程一過程が丁寧にすばやくすすめられ、信頼できる技術は見ていてとても興味深いものでした。

尚、明治神宮の結婚式場である「明治記念館」には、館内に各種レストランがあり、『金鶏の間』でも昼間はお食事やお待ち合わせに、夜はパブ、ビアホールとしてご利用頂けるようになっております。 どうぞ是非、お立ち寄りください。

明治記念館ウェブサイト