作品を飾る額縁は、木材・金属・アクリル樹脂・紙・布といった素材を用い、多くの工程を組み合わせて製作されます。そのような材料や工程を作品の内容に合わせて選択することで、高級品からシンプルなものまで様々な額装が可能です。
豊富な材料とそれぞれの専門家を集結させ、額の専門スタッフが、作品やご予算に合わせたイメージを形にしていきます。
日本画だけでなく、書、油画、水彩、デッサン、版画、写真、立体物…etc 様々な作品の額装を承っております。
数寄和の額装
1. 保存額装
和紙や絹といった、デリケートな素材に描かれる日本の書画は、作品を裏打し、パネルを張込むのにも注意が必要です。
数寄和では表具の技術を生かし、保存を考慮した丁寧な作品裏打やパネルへの張込みをしています。
「蒼山」 斉藤典彦 絹本着彩
作品は、和紙で下貼・受け掛けをしたシナベニヤパネルに裏打貼込
外枠・本漆特色仕上げ マット・正絹紬無地
2. デザイン
額縁のデザインはそれぞれの作品によって、また作品のコンディションによってかわってきます。
一つ一つ作品に合わせ、適切な形・材質・仕上げ方法を選んでいきます。
3. 裂地(織物)
表装裂地(織物)を扱う立場から、マットにさまざまな裂をつかった作品の良さを引き立てる額装が可能です。
額装日本画の取り扱い
日本画と呼ばれる絵画は、日本の風土の中で軸装や巻物、または屏風という形で『鑑賞』『保存』を両立する表装を発展させてきました。 日本画を飾るための額装としては、それほど古く歴史があるわけではありません。額装するという形式が本質的に取り入れられ始めたのは、戦後生活様式が変化し和洋折衷の建物が増えてきたからと言われています。
額装は一見、掛軸や屏風などに比べて取扱いしやすいように思われますが、作品保存という観点からは、常に密封に近い状態であり温度や湿度の調整が出来にくいという問題点があります。 額の素材である木材や紙にも水分が含まれ、室内の湿気を吸収したり温められると、額内部の温度が上がりシミやカビの出やすい環境になってしまいます。 また、作品の素材が和紙や絹の場合、そのような悪環境のもとでは過度に伸び縮みをし、極端な場合は作品が裂けてしまうことさえあります。
解決方法として、掛軸と同様に、直射日光のあたる所や空調の吹き出し口の近い場所、過度に湿気の多い所(キッチン等)に置かないようにしてください。 また箱にしまったままの作品は、年に1~2回、春秋の湿気の少ない晴れた日に虫干しすることが大切なことです。
ただし取扱いの面からだけ考えれば掛軸や屏風よりも簡単な部分も多く、落としたりぶつけたりしないように注意し、保管の際には必ず箱に入れ傷つかないようにするなどすれば、気軽に大切な作品を楽しんでいただける表装の形態です。
「湖の町―魚」 海老洋 |
「竹に月」 森山知己 |