掛軸展「絵 、纏う」5月11日(火)~20日(木)

12:00 ~ 19:00 会期中無休

数寄和では日本画家に表具の魅力や大切さを知って頂くために作品を軸装する機会を持って欲しいと考えています。
参加者が手漉き和紙を選び制作した絵画を数寄和で表具しました。合わせて小品も展示します。ご覧ください。

 

 

出展者と制作に関するコメント


椎名 絢/Shiina Aya

■ 紙について

普段は麻紙を使用していますが今回は軸装するにあたり、より薄い和紙を使いました。

軸装の作品には雁皮紙を使用しました。絵の具が紙表面にさらりとのっていく印象、繊維が短いせいか滲みがあまりなく線が繊細に決まるようでした。裏からの彩色がほんのりと透けて表面に映え、和紙の魅力を改めて感じました。

他には楮紙を使用しました。紙自体がとても柔らかで繊維に沿ってじわじわと広がるような色の滲みがとても綺麗でした。絵の具が筆から紙上にスッと降りていき、滑らかに染み込んでいく印象でした。

雁皮、楮紙とも普段使うものよりはるかに薄いものを使ったためか、絵の具の粒子が紙表面から浅い所にとどまる感じがして、さらりとした描き心地が新鮮でもあり難しい点でもありました。

紙を変えることで絵の表情が大きく変わること、学び多い制作でした。

■ 軸装について

パネルに描くことがほとんどであり、四角であることが大前提でサイズもあらかじめ決めてという描き方が常です。しかし掛け軸は作品の完成後に軸装するためサイズや形を決めずに自由に描けること、そのおおらかさが私には魅力的でした。奔放に描けたように感じます。

描き終えた作品に裂を合わせる作業をギャラリーの方と一緒に行わせていただきました。選ぶ裂によって絵の表情が変わること、その面白さ難しさを感じる貴重な体験でした。

■ 新作について

 身の回りの自然を描きました。

 普段何気なく通り過ぎていたような風景。身近なものに目を向けることの多い日々であったためか、いつもの風景がまた違って見えるようでした。

 

略歴

1979 茨城県生まれ

2001 お茶の水女子大学理学部生物学科卒業

2013 武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業

2015 同大学大学院造形研究科修士課程美術専攻日本画コース修了

 

個展

2019 「冬の旅」gFAL/東京

2018 「灯/潜る」ギャラリーナユタ/東京

2017 「熱海」ギャラリーナユタ/東京

 

グループ展

2018 「第7回 日経日本画大賞展」上野の森美術館/東京

          「桜前線」ギャラリーナユタ/東京

2016 「第9回菅楯彦大賞展」倉吉博物館/鳥取

2015 「晨颯展」かわべ美術/東京

    「a.a.t.mアートアワードトーキョー丸の内2015」丸ビル/東京

    「庭/根」マキイマサルファインアーツ/東京

 


武部翔子/Takebe Shoko

⬛︎ 紙について

今までの制作では、ざらりとした質感と渋い色味を出したかったので、厚口の麻紙に荒い番目の絵の具を重ねたり、何度も絵の具を全体に重ねて描いてきました。今回楮紙を使用してみて、まず紙の薄さが心配でしたが数回画面を洗っても平気だったので、手漉き和紙の丈夫さを感じましたし、そこまで気負わずに扱えました。

今まで使用していた麻紙と異なり色が沈んでいくこともなく、一発でのせた色の発色が綺麗だったので、自然と絵の具を重ねる回数が減り色をのせる動きもゆったりしたように感じます。

⬛︎ 軸装について

作品を軸に仕立てるには、丸めた時に絵の具が剥がれることを防ぐため、いつもの荒い番目の絵の具が使用できません。細かい番目の絵の具をたくさんを重ねすぎないように仕上げたので、いつもよりも軽やかに仕上がったと思います。

展示に向けてはじめて裂合わせをさせていただいたのですが、裂の色や柄、織り方によって絵の際立って見える部分が変わってくるため、軸の奥深さを感じました。

 

⬛︎ 新作について

今回全ての作品のベースに墨を使用しました。マチエールとして墨と水の作用を色々と試してみて、それらを木の表皮や雪の結晶・霜の表現につなげてみました。

そこに、糸を画面上に垂らしてできたような自由な線を組み合わせることで、自然現象を表現したいと思います。

 

略歴

1987 北海道生まれ

2011 京都市立芸術大学 美術学部日本画専攻 卒業

2013 京都市立芸術大学修士課程 美術研究科絵画専攻日本画 修了

 

展覧会

2011 京都市立芸術大学作品展 卒業制作「山口賞」

   春季創画展入選(同 ’12 ’17 )

   碧い石見の芸術祭2011 美術大学日本画展「奨励賞」/石正美術館(島根)

   京の若手日本画三人展/西宮阪急百貨店(神戸)

2012   臥龍桜日本画大賞展入選

   碧い石見の芸術祭2012 美術大学日本画展/石正美術館(島根)

   第39回創画展入選(同  ’18 )

   日本画の色material, matter, mind天然絵具と京都オパールの可能性 /ギャラリー恵風(京都)、数寄和(東京)

2016  第1回 石本正 日本画大賞展/石正美術館(島根)

    個展 「記憶の庭」/ギャラリー恵風(京都)

2018    筍々会展’17/京都府立文化芸術会館(京都)

2019    筍々会展’18/京都府立文化芸術会館(京都)

   ギャラリーへ行こう 2019「数寄和賞」/数寄和(東京)

     四人展 Christmas Selection 2019 「Advent Calendar」/ギャラリー恵風(京都)

2020    ギャラリーへ行こう 2020入選/数寄和(東京)

    個展「影をうつす」/数寄和(東京)

    50人の日本画サムホール展/ギャラリー恵風(京都)

 


中島綾美/Nakashima Ayami

■ 紙について

今回、初めて手漉きの楮紙を使用してみて、絵具のポテンシャルを引き出してくれる魅力的な支持体だと感じました。

岩絵具は発色が鮮やかに見え、染料のグラデーションはより繊細に表現できたように思います。そのため無駄な仕事が減り、普段より少ない手数で仕上がりました。

筆触りは非常に滑らかで引っかかりがなく、スムーズに線を引くことができました。

少しはまりそうです。

 

■ 軸装について

当たり前ですが、裂の柄や質感によって絵に対する作用が大きく異なることに、驚きと感動を覚えました。

軸装していただいた私の作品は、乙姫をモチーフにしています。

作品を囲う部分に柔らかな波を思わせる裂を配することにより、絵の外に波の動きと海底の広がりが生まれたのです。

絵と裂の関係が調和した時、今回の展示タイトルのように作品が衣を纏い、新たなものとなる感覚に高揚しました。

■ 制作にあたって

昨年の個展後、技法・技術面で制作が行き詰まっていたのですが、手漉き和紙を活かすよう制作を進めることにより、自分の表現が広がっていく感覚を得ました。無理矢理色を塗り重ね、誤魔化すように描き進めるのではなく、支持体と絵具の親和関係を見抜かなければならないことに気付きました。当たり前のことが出来ていなかったのです。

また、慣れ親しんだ素材や道具の使い方を見直す機会となりました。

数寄和の岸田さん、ご一緒させていただく作家の方々からご助言をいただき、丁寧に制作を進めることが出来ました。誠にありがとうございます。

 

略歴

1993 山口県生まれ

2017 武蔵野美術大学日本画学科 卒業

 

主な展示 

2020 個展「中島綾美展ー天使の輪郭ー」 gallery hydrangea(曳舟)

   郷さくら美術館 桜花賞展 (目黒)

2019 個展「中島綾美展ー映し鏡の森ー」八犬堂ギャラリー(池尻大橋)

2018 個展 「中島綾美展―水脈―」 柴田悦子画廊 (銀座)

2017 「武蔵野美術大学卒業制作」展 武蔵野美術大学

   「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」 国立新美術館

 


古石紫織/Furuishi Shiori

■ 紙について

初めて楮紙を使うにあたって、普段使っている麻紙に比べて手が透けるほどの薄さに最初は戸惑ったものの、画面を洗うなどのいつも通りの仕事をしてもびくともせず、その強靭さに驚きました。表面がとても滑らかなので、紙に絵の具が引っかかることなくスルッと伸びるのがとても気持ち良いです。

色が沈みがちな岩絵の具を彩度が高いまま綺麗に発色させたいと思いつつも、なかなか思うような色にならず四苦八苦していましたが、この紙に替えてから最初に乗せた色が本当に美しく発色するので、その色を活かしてどう仕上げていくか……という方向にシフトし、制作しました。

■ 軸装について

日本画の世界にいながらもどこか遠い存在だった軸に今回仕立てていただけることになり、描き上げた絵を実際に裂(きれ)の上に置いてたくさんの中からああでもないこうでもない、と組み合わせを選んでいきました。選んだ裂が自身の絵の外側の空気を纏って、絵画世界が広がっていく様をみた瞬間は心が躍りました。選ぶ裂によってその外側の空気や表現したい世界が変化していくのは本当に興味深かったです。

■ 制作にあたって

紙を替えて制作するということもあり、今回はもう一度膠や胡粉・絵の具の使い方を見直そうと思い、色々お話を伺いつつ試作や実験を繰り返しました。大学を卒業すると勉強の場がなくなるので、どうしても我流になってしまう部分が出てきてしまいます。基礎に立ち返り、改めて紙や膠・絵の具との関係を見直し学ぶ機会をいただけたことは自身にとって大きな収穫でした。

 

略歴

1986  滋賀県生まれ

2014  武蔵野美術大学 造形学部日本画学科 卒業

2018 個展 《陽だまりの誘い》 藤屋画廊/銀座

   ギャラリーへ行こう2018 数寄和/西荻窪

   第20回雪梁舎フィレンツェ賞展 第20回記念賞 受賞

2019 第38回新春企画 個展 《光を泳ぐ》アートスペース88/国立

   第37回 上野の森美術館大賞展 入選

   第4回星乃珈琲店絵画コンテスト 優秀賞 受賞

​   ギャラリーへ行こう2019 数寄和/西荻窪

   在外研修 イタリア(フィレンツェ)

2020 第8回 郷さくら美術館 桜花賞展

   個展 《庭の見る夢》 藤屋画廊/銀座

   ギャラリーへ行こう2020 数寄和/西荻窪

 

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