春彼岸におもう
旅の俳諧師松尾芭蕉は、大阪の地で病床に伏せました。(…病床に伏す身となったが、それでも旅に憧れ、うとうとと眠り見る夢は、枯野をかけ廻る夢。)句のタイトルは「病中吟」です。生涯終の句とも言われていますが、この句には辞世の意味はなく、人々が辞世の句を求めても、旅の俳諧師である芭蕉は「平生即ち辞世なり」と答えたそうです。病床に於いて芭蕉の生涯最後の句。初案は「大井川浪に塵なし夏の月」再案「清瀧や浪に塵なき夏の月」そして、推敲(すいこう)の結果、到達した句。生命感溢れています。(…清瀧の波に岸の松の青葉が風に吹き切られて散り込む)遺言により、旅の俳諧師松尾芭蕉は、淀川の舟に乗り、ひとまず伏見へ。そこから、大津市膳所の義仲寺に遺骸は運ばれます。旅の俳諧師松尾芭蕉。旅の具のうち、笠と杖は、義仲寺に芭蕉と共に納られたそうです。春彼岸。…らしく生きれたらよいですね。(あ)
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清瀧や波に散り込む青松葉 松尾芭蕉