われら牛人展から
牛と梅と言えば、天満宮を思い浮かべます。天満宮の梅に、鶯はいうに及ばず、牛までがなくだろうというような意味の句です。さて、亀井武彦画ハガキ作品「われら牛人展」。
表情豊かな牛をみながら、ギリシャ神話に出てくる牛頭人身の怪物ミノタウロスを思い浮かべました。また、美女と野獣も浮かびました。美女と野獣。民話をもとにフランスの童話作家ボーモン夫人によって書かれた時には、野獣の姿に牛も含まれていたかどうか定かではありません。挿絵などを見ていると、牙のある猪は含まれていたようです。アニメになった時には、野獣の容貌をバッファロー(アメリカ野牛)の頭部・ゴリラの額・ライオンの鬣・オオカミの尾と脚・クマの身体・イノシシの牙を合成した姿のようです。ギリシャ神話では、ミノタウロスは、勇者によって倒されます。美女と野獣では、魔法がとけて、心は野獣の間に得た優しさを持ったままで、姿は元の王子様に戻ります。どちらの話もめでたし、めでたし!!です。が…心の美しさによって救われた野獣と、心の醜さによって生み出された怪物ミノタクロス。お話には、深く物事を考察する・させる力があるように思います。心によって、人は、自分も他人も、幸せにも不幸にも出来るようです。(わたしみづからのなかでもいいわたしの外の せかいでも いいどこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのかそれが 敵であつても かまわない及びがたくても よいただ 在るといふことが 分りさへすれば、ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころと、八木重吉もうつくしいものという詩でうたっています。)農耕民族である日本の民。牛は、重い荷物を運ぶという大変重要な役割を担っていました。十二支では、ネズミを背中に乗せ出発しました。目的地の間際で、牛の背から降り、一目散で走ったネズミが一番。牛の到着は二番目ですが、文句をいう訳ではありません。ちなみに、ネズミに騙された猫は、怒っていて、ネズミをみると思わず、追いかけだします。…牛のおおらかさ。力強さ。真似たいものです。亀井武彦先生の作品は、今展のような、カラフルなものばかりではありません。墨を使って描く。墨で描く。先生の笑顔を思い起こす「笑」という文字作品。こんな風にチャーミングに笑いたいものですね。ほかにも、亀井武彦先生の墨で描いたユニークな作品がたくさんあります。もちろん、表具は数寄和です。また、いつか皆さんに観ていただけたら…と思います。
数寄和では、亀井武彦先生の絵葉書を販売しております。なかなか会わないひとから、久しぶりにハガキを受け取るのも愉しいものです。ぜひ、どうぞ!(あ)
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