山笑う
山の木々が一斉に芽吹き始め、色とりどりの葉の色が出てくる状況を表現した言葉が「山笑う(春の季語)」です。若葉の色には赤、紅色、黄緑、茶緑、萌葱色などがあります。それらが次第次第に、淡い緑色、濃い緑色へと変化していきます。
「四方より花吹き入れて鳰の波 芭蕉」1690年3月下旬。膳所の門人の洒堂の住居「洒落堂」で招かれ遊んだ芭蕉が、俳文「洒落堂の記」を、この句とともに、贈呈したそうです。亀の印をプレゼントしてくれたスタッフからの、嬉しいお願いがありました。滋賀を想う言葉を書いて欲しいとのことでした。私は、芭蕉の大好きな句と俳文を書きました。若い人が読みやすいパソコンの字だけでなく、人の息遣いや感情、そして精神が伝わってくる書を楽しんでくださることは、大変と嬉しいことです。絵や書の好きな、数寄和のスタッフたち。絵を描く人たちの好きな数寄和の若いスタッフたち。字を書く人たちを好きな数寄和の若いスタッフたち。興味から、より好きになってもらえたらいいな…と出会いのなかで感じます。洒落堂の記は、山は静かにして性を養い、水は動いて情を慰す。と、始まります。これは、論語の「知者は、水を楽しみ、仁者は山をたのしむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。」とあるのを踏まえてあるようです。「性」とは心の不変の本体を言い、「情」とは心の変化する作用をいうようです。山のように、どんなことにも動じない私であり、水のように、絶えず成長する私でありたいものです。芭蕉の句は、琵琶湖でいうと、上澄みの軽やかさにあるように感じます。実は、たいへんな深さがあり…だからこそ、美しかったり、面白かったりするのでしょう。
「故郷や どちらを見ても 山笑う 子規」思い出とともに、素敵な言葉がスタッフの心に残っていたら、良いなーと願います。ある時は思い出して笑えるように、ある時には力や励みになるような、そんの言葉が心に残っていたらと思います。そして、新たに素敵な言葉と出会ってほしいです!!(あ)
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