10/6//2008  数寄和大津 近辺情報

詩的な時間

■ 伝三Fさんのパントマイム。
思えば、最初に観たのは、
「過ぎ去りし 句読点」というタイトルで、
「白いアトリエ」だった。
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京都へ出向き、次の展覧会のお知らせという大切な仕事をして、友だちと一緒に、あの世を観る。この世を観る。
この世は田口ランディさんの「転生」の朗読と通崎睦美さんのマリンバ。
あの世は伝三さんのパントマイム「蜘蛛の糸」。

この世で、何故、命は存在するのか?淡々と輪廻の話が進む「転生」。
生まれる、存在する、、、何ゆえに?
私にとっては先回の「像(かたち)」展と繋がる大切なこと。
誘ってもらったら、二つ返事で行くことに。
この話では、大概は辛い生が書かれている。
確かにこの世には哀しいことが沢山ある。
淡々と進む輪廻の話の中で何故か心惹かれた生がある。何故か?
この話では、一時輪廻から、自由となる。水や風といった変化の存在。カタチのないカタチとなる。
しかし、またしても、存在の輪に吸い込まれる。何故、カタチとなる?朗読の話の最後に発せられた「あい」と言う言葉。

「像(かたち)」を観て佇む人たちを思い出す。
人は完璧ではない存在である。足りないものが一杯あるのだけど、自分なりに立とうとするし、やはり、立つ。「像(かたち)」では、破損仏が人体に置き換えられ、立っていた。作家の若山卓さんから、人体のカタチとしての美しさに惹かれたことを聞いた事がある。
「像(かたち)」を観て美しいと感じた。
多くの人が、もう一度観たかったのは、完璧ではないけれど、立っている美しい姿ではないのか?
作品を通して、「あい」を私は観ていたような気がする。
一緒に特別展示させていただいた山下和也さんの作品「普賢新生菩薩」は、破損仏とは、逆の存在。沢山と手があり、宝物を持ち、乗り物もあるという仏様である。そして、周りには光りもある。多くの人の願いが既にカタチとなっている。更に、この中から、生まれてくるものって何だろうか。
山下和也さんから、見たいものを描くと聞いた事がある。
一つの完璧なカタチを打ち破り、新しくカタチとして、現れるもの。やはり、「あい」であると思われる。眩い光の中、「あい」が生まれる。今までのカタチを打ち破ってまで、外へと飛び出そうとする新しいカタチには生命力を感じる。おそらく動き出すはず、、、。

若山卓さんと山下和也さんに数寄和大津での初めてのギャラリートークをお願いした理由の一つとして、ブログを通して遠い昔に会った事のある曲のある自然体の青年たちと皆さんにお伝えし、ブログを通してこのような作家のお二人であると皆さんにお伝えした。






 
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あの世の話。「蜘蛛の糸」
思えば伝三Fさんとの付き合いは長い。30年近くになる。坂を登ると「白いアトリエ」があった。
黒い衣装の伝三Fさんのパントマイムを観て、話を聴きたいと思ったら、一緒に行った友人は帰りたがった。好きなものは一人で観るのに限ると、その後、その友人と距離ができて思った。伝三Fさんとの長い付き合いでは、それ以上に沢山得ることがあった。詩が好きな私には、「過ぎ去りし 句読点」は大変と響くタイトルだった。伝三Fさんは、タイトルどおり詩的な人だった。
今回の「蜘蛛の糸」は、京都のギャラリーアールさんで、ひらまつこういちろうさん(画家)の作品展の友情出演であった。そして、ずっと昔に聞いたことのある、これも友情により出来た台本。ずっと置いていたものを取り出した伝三さん。ついに演じた場はギャラリーアールさんの和の空間。
「蜘蛛の糸」と合いすぎで怖かったね!フリーアナウンサーの久保直子さんと話した。
ギャラリーアールのTさんとも、長い付き合いをさせて頂いてた私である。なんだか、縁(輪、和、、、もしくは、愛)とは不思議なものである。
伝三Fさんと初めてあった頃、よく読んだ詩に谷川俊太郎がある。最近、パンダと同じでマイ・ブーム。読むほどに谷川俊太郎の詩はやっぱり良い!と思う。昨日伝三さんにマイ・ブームだと言うと「あの頃、この詩のこの部分が良いよね!とか、言ってた」と言われて、なんだか、面白かった。
人と人との長い付き合いの秘訣は、お互い相手の好きなものを言えることではないかな。色んな仲良しの人を思い浮かべながら、知ってる!!と思い笑顔になる。
伝三Fさんのパントマイムを観続けてきた理由は簡単だが、大変でもある。
伝三Fさんが、パントマイムが好きだからである。
伝三Fさんが、パントマイムの為に努力を惜しまない人だからである。
勿論、観る私がパントマイムが好きだからである。

「像(かたち)」展の特別企画ギャラリートーク「良い絵とは?」
若山卓さんと山下和也さんにお願いした理由をもう一つ挙げたい。
お二人とも、絵が好きだからである。
お二人とも、絵の為に努力を惜しまない人たちだからである。
そして、やっぱり縁があったのだと思う。
絵の好きなお二人が、描く紙に興味をもたれたり、絵の引き立て役の表具に興味をもたれている。当たり前であるが、嬉しいことである。
絵が好きな人は一杯いる。二人が知り合いだったことは不思議であり、面白い。
お二人の作品を何年観続けることが出来るだろう。
元気な私が、さらにパワーアップして観続けられたらよいな。
沢山の美しい出会いとの其其との縁、また、繋がる深く大きな縁を感じていきたい。

「蜘蛛の糸」から、感じること。私は信じることやなって思う。
行きたかった処から、糸が下りてきた。
行きたい処と繋がっている糸の力を信じれたら、、、仏様の意図を信じられたら、行きたい処に着く。簡単なこと。でも、大変である。信じることって大事だと思う。

私は、此処(この世)で、観続けれることの幸せに感謝したい。(あ)

 
森山知己 水の記憶
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