特別企画 ギャラリートークと そして
ギャラリートークでは若手作家のお二人それぞれの自己紹介や絵や技法や素材についてなど、たくさん語っていただきました。数寄和大津での初めてのギャラリートークでした。たくさんお話を伺うことで、「絵」に興味をもたれたり、さらに興味を膨らまされたお客様の感想をお伺いしながら、2ヶ月前からこの日のためにご準備してくださったお二人の若手の作家の方々に大変感謝しております。お二人のお話の中に模写の話題がありました。今展の特別企画は山下和也さんに大変御協力頂いた訳です。山下和也さんは大学で4年間平安仏画や中国山水画等の模写を行い、日本絵画の古典技法を基礎に制作されています。山下さんの模写作品に「普賢延命菩薩」があります。この模写作品を通じて得た技法や知識等を酷使し、山下さん自身の世界観を構成した作品が「普賢新生菩薩」なのだと作品を観させていただき、お話を伺い思っております。模写作品「普賢延命菩薩」を3回観る機会がかつてありました。オリジナル作品「普賢新生菩薩」とはどのような作品なのだろう?「新生」とはどういう意味を表したタイトルなのだろう?と作品を観させていただく事をたいへん楽しみにしておりました。「普賢新生菩薩」を観させていただきながら、何故作家がこのタイトルをつけられたのか改めて考えています。かぐや姫の居た竹が光輝いていたようにこの菩薩様はお顔の中の光輝いた中に新しいお顔を持っておられます。また、仏様が何を云わんとしておられるのか、新たな顔と共にまばゆい光の中へとかすかに現れた手の指にも考えさせられます。観る私が観るという行為の中で、光の中へと新たに生まれ変わるような働きかけがあるように感じたりもします。さてこの仏様、新たに生まれ変わるのでしょうが、蝶のようなそれまでと全く別の姿へと変化が見えるのではなく、大よそはそのままで何かは変わるというように感じとれます。菩薩様は自分で誓いを立て修行を積むそうです。その回数は菩薩によって違いますが修行を終えるには、自分の立てたその誓いを守り、一つずつ悟り、如来への道を進んでいかれます。これは人の成長にも似ています。「絵」ではどうなのでしょうか?何故、人は絵を描くのでしょう?そして何故、人は絵を観るのでしょう?そして人は何故自分の感じたことを話すのでしょう?人は何かを観て感動し、自分も同じように描きたくなります。さらにそれから発展し自分自身を織り込みながら新しい表現をしたくなると思います。これは大変自然な心の動きのように思います。さらに描いたものを人は観ることで自分と向き合うことが出来るように思います。出来れば自分の観たように描きたいと思いますでしょうし、観れていないことに気づくこともあるでしょう。人にとって描くことは自分自身の確認であり、観たことを人と話し合うことで、お互いの確認を改めてし合ったり出来るように思います。やはり模写作品にしても描く人により、全く同じではなく、描く人の今の段階で見えたようにしか、人は描けないのだと思います。そして多くのオリジナル作品群についても、人間が描くという上で、かつて人が考えてきたことと全く異なるものというものはなく、今まで使われた技術上の何かは使われながら制作されています。よく観ること。五感を働かせること。手を使いこなすことだけでなく体全体を使いこなすこと。このように考えていきますと、今展のオリジナル作品は模写作品と違い、しかし今まで伝わってきた技法や物の見方からかけ離れたものではなく、現代まで伝わってきた沢山の技法や考え方の中で、美しいと感動したり残したいと作家が感じ取ったもの、作家自身の世界観をオリジナル作品「普賢新生菩薩」では表現しておられるのではないかと私は考えます。今展も残すところ、一週間となりました。若山卓さんの作品。そして山下和也さんの作品を、皆さまもご覧いただき、どのように感じられたか、お教えください。(A)お二人のブログもどうぞご覧ください。若山卓さん http://wakayamataku.gunmablog.net/山下和也さん http://blog.goo.ne.jp/kazuyajack/
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今展ではギャラリートークで、「良い絵とは?」について若山卓さんと語っていただき、オリジナルの仏画作品「普賢新生菩薩」を参考出品していただいております。